『バイティング・ザ・サン』

バイティング・ザ・サン
タニス リー Tanith Lee 環 早苗
4916199588

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読了。

たぶん遠未来が舞台のSF。

リーの作品としてはかなり古いほうなんじゃないかと思う。
というのも、かつて早川から頻繁に邦訳が出ていた頃に巻末著作リストに載っていたのを鮮明に覚えているから。
あの頃はリーの作品にどっぷりとはまっていて、それこそ全作品を読みたいと願っていたけれど、当時の私がこの本を手にしても面白いと感じたかどうかはかなり疑問です。

『銀色の恋人』もそうだったけど、私はリーのSFはあんまり好みじゃないようです。
今回はくるくると態度を変え、目的を変えるヒロインの少々エキセントリックな性格についていけなかったこともあるけど、物語の舞台がよくみえないのがどうも話に入り込むのを妨げている模様。
未来ものであればあるほど、私はディテールの書き込みが欲しくなるのかなーと思った。

おかげで話が具体的に脳裏に描けず、読んでいると眠くなってしまいまして、就寝前に読みかけては寝落ち、を何度も繰り返してしまいました。

やっとの思いで読み終えた後、これって楽園追放がテーマな話だったのかと気づきました。
これってキリスト教的なお話なのかな。

考えてみると、一見楽園に見えてじつは抑圧された管理社会に反抗しそこから脱出する、という話はSFでは定番です。
ということは、それらも実は楽園追放がモチーフだったのか……な?
たとえば榎田尤利のフェンリルのシリーズとかも?
うわー、私ってなんて鈍い奴なんだ……。

何で今頃そんなことに気づいたかというと、この話、本当にヒロインが追放されてしまうからです。
じつにシンプル、じつにあからさま。
そして人間性を回復していく。

と考えると宗教的な楽園追放というテーマをすっかり皮肉っていることがわかりますね。
ふーむ、なるほど、おもしろい。
と、こんなことを理屈っぽく考えている時点で、私がこの話にあまりのめり込んでいない事実が発覚するわけですが。

そんなことを考えられるくらいには成長したんだなー私も。

とりあえず、読んでいて面白かったのはヒロインがデザインする新たな体の描写です。
じつにリーらしく、色彩豊かでキラキラしておりました。
ヒロインの好みがどうやら白馬の王子様っぽいところとかも面白かった。ギャグじゃないんだろうけど、なんか笑えてしまう。

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