『水底の仮面 ヴェヌスの秘録1』

水底の仮面 (ヴェヌスの秘録 1)
タニス・リー 柿沼 瑛子
4916199979

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読了。


ヴェネツィアをモデルにしたと思われる架空の街ヴェヌスを舞台にした異世界ファンタジー。多分連作シリーズの一冊目。

やはり私にとってのリーはSFではなくファンタジーだなーとの思いを新たにした一冊でした。
けして清潔とは言えない泥水の流れるラグーナと脂粉と腐臭に満ちた煌びやかな仮面の都市、ヴェヌス。
年代的にはアメリカならぬアマリアという新大陸の話が出てくるから近世にはなっているのかな。
そこで破滅的な生活をしている若者フリアンが禍々しい仮面と出逢ってから起きる危険な一連の出来事とその結末。
仮面職人の組合、死んだ天才音楽家、錬金術師、白い仮面の娼婦などなど、あやしげな舞台で胡散臭いひとびとがうごめいて織りあげてゆくつづれ織りといった趣の、たいそう神秘的で浮世離れして、悲痛でうつくしいお話でした。

ここからちとネタバレはいります。

この話は途中でヒロインの名前が判明するとわかる人にはとたんに構造がわかってしまうという話なのですが、そこにいたるまでに私はだいぶん苦労させられました。
たぶん主人公のフリアン君の名前とか、読んでたときの体調のせいだと思いますが、話がどこに向かってるのか皆目見当がつかなくて。

あとから考えてみると、仮面をめぐる殺人事件と読めば簡単だとわかるんだけど、なぜか殺人事件のことが頭から抜け落ちてしまったのですねえ。
フリアン君に身の危険が迫るたびに首をひねっていた自分が情けない。
そのかわり、フリアン君が実家から離れた過去が披露されてから、そのことをえんえんと考えていたわけですが、理由がわかったときにはなにやらだまくらかされたような気がしました。
エウリュディケがはっきりと登場して話の方向が見えてからも、私がこだわっていたのはそのあたりの設定。
アマリアの呪術ってだけで片づけられるのが納得いかん、と最後までぐずぐず文句言ってて(もちろん心の中でだけど)。

鬼畜なエウリュディケのとーちゃんが忙しくフリアン君をいじめているクライマックスも、なんとなく傍観者のままでひたれずに終わってしまったのでした。

リーには珍しいハッピーエンドだったのに。

読み終えてから最初のほうを読み返してみたら覚えのないところがかなり出てきて、がっくり。
読んだと思ってたのに、寝てたんですね、私。
体調の悪いときに複雑な話を読むのはやめにしよう、と心に誓ったのでありました。

シリーズ二作目はこちら。

炎の聖少女 (ヴェヌスの秘録 2)
タニス・リー 柿沼 瑛子
4916199987


今度予約して借りてこよう。
そんで寝る前に読むのは止めよう。

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