『ニューヨークの魔法使い (株)魔法製作所』

ニューヨークの魔法使い <(株)魔法製作所> (創元推理文庫)
今泉 敦子
4488503020

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読了。

現代アメリカを舞台にしたローファンタジーシリーズ「(株)魔法製作所」の開幕編。
普通すぎて職場でも男女関係でも埋没してしまう二十六歳のOLケイティが、その普通さ故に魔法使いの会社にスカウトされてすてきな男性と巡り会う、OL版ハリーポッターファンタジー。

これはたいそうおかしくて楽しいキュートなお話でした。
テキサスから出てきた田舎者のケイティが、じつは妖精たちが見えるセカンドサイトの持ち主で、なのに妙ちくりんなものを見かけるたびに「ここはニューヨークなんだから」と言い聞かせて精神の均衡を保とうとしているあたりの導入部が最高。

とつぜん現れたヘッドハンター、ロッドに新たな職場を紹介されるものの、理性のかたまりケイティは相手のうさんくささになかなか返事ができない。
そもそも、どうしてこんなに美人でもなくキャリアもない、普通さだけが取り柄の自分が選ばれたのか、納得できないのです。

なのに理不尽な上司にとうとうぶちきれて辞表をたたきつけ、いきおいで転職することに。
いざ、新たな職場へ足を踏み入れてみると、そこはなんと魔法使いや妖精たちが魔法を作って販売している会社で、ケイティに求められているのは、魔法の素質がまったくないゆえに魔法による目くらましが効かない体質を活かした、検証作業だったのでした。

魔法をコンピュータのソフトウェアのように開発販売しているという発想から、話は魔法使いたちの抗争へとながれていくのにいついつまでも現実に足をつけたまま進みます。
ケイティが販促のためにマーケティングを導入したり、商売敵として頭角を現す元従業員への対抗手段として弁護士に協力を要請したり。

そのいちいちに魔法ならではの困難と利点がついてきて、それがものめずらしさとユーモアにつながってる気がします。

特におかしかったのは、ケイティの歓迎会でめぼしい男性が見つからないと悟ったときの、職場の面々の行動。
まさかカエルが出てきただけでこんなに笑えるシーンになるなんて!

ケイティが自信がなかっただけでじつは結構有能で、めきめき頭角を現していく展開も面白いですが、開発部のシャイなハンサム、オーウェンへの思いに一喜一憂する乙女心を分離させることなくきちんと双方を絡めて読ませてくれるところがたいそう楽しかったです。

謎めいたオーウェンの背景はなかなかあきらかにならず、ケイティと一緒にいろいろと推理を巡らせてしまいました。

それと、ルームメイトたちとのやりとりもいかにも女友達って感じの気の置けない雰囲気でよかった。

事件の解決部分がすこし尻すぼみに感じましたが、むしろこんな大掛かりなことはせずに日常の謎で押し通してもよかったのではと思うくらいでした。

あー、楽しかった。
欲を言うなら西洋風の異界イメージ以外も出てくるともっと楽しいのにな。

シリーズは三冊が既刊のようです。
このつづきはこちら。

赤い靴の誘惑 (創元推理文庫 F ス 5-2 (株)魔法製作所)
シャンナ・スウェンドソン 今泉 敦子
4488503039


あれ?
私予約したかしらん。

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