『青いチューリップ、永遠に』

青いチューリップ、永遠に (文学の扉)
小松 良佳
4062832119

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読了。

十六世紀のオスマン帝国を舞台にした、少年少女の冒険と成長の物語。


『青いチューリップ』の続編です。
旅から戻ってイスタンブルのラーレの祖父の家に住むことになったネフィたち。
ネフィは挿絵入り薬草本を作りたいという夢を持ちますが、画師になる夢が叶わないと知っているラーレには祖父の弟子メフメットとの結婚話が持ち上がります。
ところがもう終わったと思っていた青いチューリップがらみの事件にまたも巻き込まれることに。

この本の魅力はなんといってもオスマン帝国支配下の人々の暮らしが生き生きと描かれていること。
今回はトルコ在住のユダヤ人の生活や後宮のようすがあっさりとした文章ながら目に見えるようなのが楽しい。
絵画や活版印刷のイスラム圏での扱い、後宮のなりたちなど、文化と歴史に関する深い知識が絨毯のように物語のそこここに織り込まれて、当時の雰囲気にリアリティーを感じさせてくれます。
こういう時空間を感じさせてくれるおはなし、大好き。

物語はネフィの雲をつかむような夢が周囲の助けで次第に具体性をおびてくるところ、ラーレの女性蔑視の風潮に自分を理解してもらえない苦しさと、まっとうな成長物語の要素とともに、幼いながらも惹かれあっているふたりの初々しい恋心を交え、政治的な陰謀まで登場して波瀾万丈。たいへん読みやすい読み物となってます。

個人的には奴隷として宮廷にやってきてスルタンの絵師にまでのぼりつめたラーレのおじいさん、シャー・クルがいい味だしてるなあと思います。
前巻では頭の硬い人物のように描かれてましたが、かれにはかれの歴史とそれによって培われた信念があるのですよね。あたりまえですが、長い年月を生き抜いてきた人には敬意をはらうべきだと思いました。

ところで、この話、続刊は出てませんがこれで完結なんでしょうか。
読み終えたところではまだまだ続きがありそうな雰囲気なんですけどねえ。
できればこのあとのネフィとラーレのものがたりも読みたいなあと思います。

前作はこちら。

青いチューリップ (講談社文学の扉)
新藤 悦子 小松 良佳
4062125862

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