『崖の館』

崖の館 (創元推理文庫)
佐々木 丸美
4488467016

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読了。

荒涼とした海を背景に崖の突端にたてられた洋館を舞台に、少女の潔癖な精神にみちた心理描写を細やかに描いた本格ミステリ。

哀しい伝説のつたえられる海辺の洋館は、若くして夫を亡くし、莫大な遺産を受け継いだ叔母の住まいだ。叔母の独立し精神的な生き方に憧れる高校生の涼子とその年上のいとこたちは、幼い頃から休みのたびに館を訪れていた。しかし今、叔母の養女となった千波の思いがけない転落死がかれらのこころに大きな影を落としていた。雪の降る季節、館に集ったいとこたちの前で、絵画の一枚がなくなった。奇怪な出来事に哲文は千波の死に関係があるのではと推測する。だれもが不審を抱きつつ、言葉にせずにきた不安が頭をもたげる。果たして千波の死は本当に事故だったのだろうか。もし、事故でないとすれば……犯人はこの中にいる。




うーむ。
なんと感想を書けばよいのかとても困る本だなあ。とくにミステリの本筋に関心のない私にはうーむな本だ。
どこまでも潔癖な少女の世界であることは厭う理由にはならないのだけど、さすがにここまで現実離れしていると歳喰った人間には困ってしまうような。かといって、少女の頃に読んだとしても私には登場人物の展開する形而上的な台詞群が理解できなかったんじゃないかと思ったり。いや、理解できないから余計に雰囲気に浸って好きになったかもしれない。それはもう今となってはわからないとしか言いようがありませんが、とりあえず、主人公の名前が私にはネックでした。非常に個人的な理由だが(苦笑。

読んでいて受ける感じが非常に長野まゆみとか奈須きのこに似ているなと思いました。
ある年齢の少女がどこまでも精神的な価値観ですべてを判別したり切って捨ててしまったりするのは、精神と肉体がアンバランスに成長しているからなのかなあ。
人間、生まれたときにはまぎれもなく生き物なのに、途中で生き物であることを忘れてしまうような気がします。それで生き物としての均衡が崩れるのかも。そのアンバランスさが人間性で、文学的には魅力になるのかも。

などと愚にもつかないことをつらつらと考えてしまいました。

というわけで、私は哲文くんというキャラクターが気になったのですが、ヒロインのように好きだとは言えなくて、でも現実に目の前にいたら間違いなく惹きつけられていたんじゃないかと思われたりするので、そんなところでもうーむ。

あと、年上のいとこたちがみんなで子供扱いしてくれる環境って、なんとなくウラヤマシイかも。

困った本ですが、一気に読んでしまいました。
ということは、たぶん惹かれるなにかがあるのだと思われます。
つづきがあるようなので見かけたら読んでみたいと思います。

水に描かれた館 (創元推理文庫)
佐々木 丸美
4488467024

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