文庫版『風光る 6』

風光る 第6巻 (6) (小学館文庫 わA 36)
渡辺 多恵子
4091918166



敵討ちのために男と偽り新選組に入った少女を中心に殺伐とした時代を生きてゆく人々を描く、幕末青春グラフィティの第一期完結編。


……よし完結編!という意気込みはちと空回りしてしまいました。
いや、前半はもの凄く盛りあがったのですが……山南さん関連でね。
だけど後半はなんだかすごく中途半端。

文庫版は単行本で二冊ぶんというのがあだになったのでしょうか。
そもそも第一期の定義がどうやら掲載誌の移動までということだったらしいので、作者ではなく出版社側の都合ですね。

そういえば、プチフラワーがflowersになったときには別コミも統合されたんでしたっけ。
すでに雑誌を買わなくなって久しかったためまったく気に留めてませんでしたが、執筆者の方はいろいろ苦労されたんでしょうねえ。

後半の屯所の移転話もたいそうおもしろかったんですけどもね。
ここで第一期の締めくくりというような話ではないような……。
そのうえ、新エピソードがちょっとだけ先行掲載されてるような構成がまた締まりない感じ。
始めから第一期なんて銘打たなければふつーに楽しめたのに、と恨めしいです。

今回はあちらとこちらで板挟みになってしまった山南さんの苦悩です。
孤児になってしまった正坊のエピソードが絡んで、非常に泣ける話になってます。


伊東甲子太郎の〝正義〟と
近藤勇の〝誠〟が

並び立つ事など
有り得ないのだ



うー、苦しいっ。
人の心なんて外からどうにかしようとしても動かせはしないもの。
ましてや信念を持って世の中を見すえているふたりの男をはたからあやつるなんて、この誠実で不器用なおひとにできるわけがありません。

しかし進退窮まって逃げたという現代人からはごく普通のことで即座に命をうしなう結果に至るところが、この時代に生まれたこの組織の怖ろしいところですな。
周辺から中央へ向かってプロテストする組織というのは、存在意義を保つために外にも内にもどんどん過激になっていっちゃう傾向があるようにおもいますが、これなんかまさにそれ。しかも、信奉するのが武士道だからねえ。始末に負えないなあ。

現代の私から見ると、言わぬが花とか、身を賭して汚名をすすぐとか、すべて口下手な性質を長所とむりやり解釈する、ごまかしの美学のように思えてしまいます。

が、どんなにつらくてもそれを貫く山南さんの姿にはやはり感動してしまう。
私も日本人だなと思う瞬間です。
しかし、明里さんの姿をみると、やっぱりコミュニケーションがとれないことの言い訳をするのにさらに言葉を惜しんでるみたいな気がするんだよねえ。
なんか、とても理不尽。
そういう時代だったんだ、と思っても納得いかーん。

はっ。
こんな事考えながら新選組を読んだらダメダメなんだ!
だから幕末ものが読めないんですよね私はううむ。

気をとりなおして、総司がとうとうセイちゃんを女として認め始めたようなのが楽しいです。
斎藤さん、煉獄ですねv

このつづきはまだ文庫ではでてません。
単行本なら十三巻くらいかな。

風光る (13) (flowersフラワーコミックス)
渡辺 多恵子
4091381030

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