炎の聖少女 (ヴェヌスの秘録 2)
タニス・リー 柿沼 瑛子

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読了。
ヴェネツィア風の都市を舞台に描く、異世界ファンタジーシリーズ。第二巻。
ネタバレはいるのでここでたたみます。
タニス・リー 柿沼 瑛子

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読了。
ヴェネツィア風の都市を舞台に描く、異世界ファンタジーシリーズ。第二巻。
前巻はルネッサンス後の時代でしたが今回はあきらかに中世期が舞台。
まだヴェ・ネラと呼ばれていたヴェヌスでは異教徒の帝国ユルネイアとの戦が囁かれる中、信徒の堕落を激しく糾弾する〈神の子羊評議会〉が権力を増していた。
そんな不安と暴力にいろどられたヴェヌスで、あるじの暴力をうけた奴隷の娘ヴォルパは炎をあやつる能力をめざめさせ、大司教ダニエリュスの元に庇護される事となる。
ダニエリュス配下の〈神の戦士〉クリスチアーノは、ベアティフィカと名づけられ、従順に奇跡を行う彼女にみずからの信仰を揺るがされ、はげしく心を乱される。
ユルネイアとの決戦間近、ダニエリュスはベアティフィカを神のつかわした聖女として世間に登場させた。
ネタバレはいるのでここでたたみます。
おもしろかった〜。
これはあれですね、ジャンヌ・ダルクのモチーフをヴェネツィアに持ってきて、キリスト教徒同士の戦いを異教徒との戦いにすりかえ、聖女と神の奇跡のテーマをより鮮明に浮き彫りにしたお話です。
炎をあやつる娘ヴォルパが奴隷としてすりこまれた意識からすこしも抜け出すことなく、無邪気に聖女ベアティフィカとしてしたてられていくさま。すこしばかりの洗練をほどこされ、大司教のお墨付きを得ただけで劇的に変化する周囲の態度。大司教の綱渡りをさらに危険にあやうくみせる〈神の子羊評議会〉のイザークの狂信的な告発。さらにベアティフィカに心を乱されつつひかれてゆく美貌のクリスチアーノ。
おおむね話は予想通り。ま、ダニエリュスさんのお人柄のふところ深さに感心したり、クリスチアーノの妹ルキータの変貌に驚いたりはありましたが、おおむね聖女の誕生、奇跡の出現、熱狂、民衆の反意と踏むべき手順が順調にふまれてゆき、クライマックスはまさに悲劇の予感むんむんです。
しかし。
しかしです!
ラストでおきたどんでん返しに私はびっくり仰天しました。
クリスチアーノとベアティフィカのほんとうのほんとうの結末ったら!
ああ、これ以上書いたら確実に大ネタバレになります。
書きたい、この話の感想を書くならここを書かないと意味がない。
でもこんなに書いたらこれから読む人の邪魔になるかもしれないし〜。
それに全然間違ってるかもしれないし〜。
ううう、苦しい〜。じたばた。
苦しいのでできるだけ遠回しに言ってみます。
私が感じたのは、
……このひとたち、すでに人間ではないのでは?
……もしかして生きながら昇天してしまったのでしょうか。
……地上にいながら、すでに異界の住人のような気がする。
というような事なのですが。
あれ、もしかして、この結末はジャンヌもそうだと比喩的に言っているのかな〜。
……むー。これ以上すくない脳みそを使うと焼けこげそうなんで、ここで撤退します。
ともあれ、ファンタジーでなければ絶対書けないお話である事は確かです。
目もくらむような豪華絢爛と貧困と暴力のふきだまる汚泥を両方描く作風も健在。
「平たい地球」シリーズなどと比べるといくぶん雰囲気がやさしいかなと思いましたが。
なにしろ、ハッピーエンドですしね。
ところで、この話にはあきらかにイスラームだと思われる異教が出てきますが、異教徒の描写でもイスラームを貶めているところは微塵もなく、むしろキリスト教徒の無知による誤解や、イスラームがキリストを預言者として扱い、キリスト教徒は異教徒とはいえおなじ神を信じるものたちであると認識している事もきちんと書かれていて大変好感が持てました。
それだけでなくキャラクターとしてもちゃんと活躍してくれたので大満足です。
つぎは三巻。
土の褥に眠る者
タニス・リー 柿沼 瑛子

これはあれですね、ジャンヌ・ダルクのモチーフをヴェネツィアに持ってきて、キリスト教徒同士の戦いを異教徒との戦いにすりかえ、聖女と神の奇跡のテーマをより鮮明に浮き彫りにしたお話です。
炎をあやつる娘ヴォルパが奴隷としてすりこまれた意識からすこしも抜け出すことなく、無邪気に聖女ベアティフィカとしてしたてられていくさま。すこしばかりの洗練をほどこされ、大司教のお墨付きを得ただけで劇的に変化する周囲の態度。大司教の綱渡りをさらに危険にあやうくみせる〈神の子羊評議会〉のイザークの狂信的な告発。さらにベアティフィカに心を乱されつつひかれてゆく美貌のクリスチアーノ。
おおむね話は予想通り。ま、ダニエリュスさんのお人柄のふところ深さに感心したり、クリスチアーノの妹ルキータの変貌に驚いたりはありましたが、おおむね聖女の誕生、奇跡の出現、熱狂、民衆の反意と踏むべき手順が順調にふまれてゆき、クライマックスはまさに悲劇の予感むんむんです。
しかし。
しかしです!
ラストでおきたどんでん返しに私はびっくり仰天しました。
クリスチアーノとベアティフィカのほんとうのほんとうの結末ったら!
ああ、これ以上書いたら確実に大ネタバレになります。
書きたい、この話の感想を書くならここを書かないと意味がない。
でもこんなに書いたらこれから読む人の邪魔になるかもしれないし〜。
それに全然間違ってるかもしれないし〜。
ううう、苦しい〜。じたばた。
苦しいのでできるだけ遠回しに言ってみます。
私が感じたのは、
……このひとたち、すでに人間ではないのでは?
……もしかして生きながら昇天してしまったのでしょうか。
……地上にいながら、すでに異界の住人のような気がする。
というような事なのですが。
あれ、もしかして、この結末はジャンヌもそうだと比喩的に言っているのかな〜。
……むー。これ以上すくない脳みそを使うと焼けこげそうなんで、ここで撤退します。
ともあれ、ファンタジーでなければ絶対書けないお話である事は確かです。
目もくらむような豪華絢爛と貧困と暴力のふきだまる汚泥を両方描く作風も健在。
「平たい地球」シリーズなどと比べるといくぶん雰囲気がやさしいかなと思いましたが。
なにしろ、ハッピーエンドですしね。
ところで、この話にはあきらかにイスラームだと思われる異教が出てきますが、異教徒の描写でもイスラームを貶めているところは微塵もなく、むしろキリスト教徒の無知による誤解や、イスラームがキリストを預言者として扱い、キリスト教徒は異教徒とはいえおなじ神を信じるものたちであると認識している事もきちんと書かれていて大変好感が持てました。
それだけでなくキャラクターとしてもちゃんと活躍してくれたので大満足です。
つぎは三巻。
土の褥に眠る者
タニス・リー 柿沼 瑛子

2008/06/05(木) | 読了メモ | トラックバック(0) | コメント(2)





