『ジーヴズの事件簿 P.G.ウッドハウス選集1』

ジーヴズの事件簿 P・G・ウッドハウス選集1 (P・G・ウッドハウス選集 (1))
P.G.ウッドハウス 岩永 正勝 小山 太一
416324090X

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読了。

少し前のふるきよきイングランドを舞台にした、ウッドハウスの代表作品。
エムズワース卿が楽しかったので、ジーヴズシリーズも借りてみました。
わ、笑える……。

のほほん能天気で陽気で心の広いあるじバーティとその仲間たちがまきおこす珍事件を、バーティの万能従僕ジーヴズが手段を選ばず解決してゆく、どたばたコメディー。

思慮が足りないうえ、強烈な個性の持ちぬしである叔母や友人や友人の思い人やその親のあいだでつねに翻弄されて窮地に陥るバーティ君。お調子者の上にすこし見栄っ張り。服の趣味は奇妙奇天烈。しかしそれをうわまわる超お人好しです。

そんなバーティを救うのが従僕のジーヴズ。とにかく冷静つねに有能、頭の回転はおそらくバーティの目にはとまらない。かれの欠点はあるじの服の趣味に寛容でおれないことと、目的遂行のためにはあるじの評判を落とす事も厭わないこと。

その容赦のない実行力が笑い所でもあるのですが、こんなにあるじをないがしろにしてこんなに感謝されている召使いっていいのか(笑。

この本は短篇を選りぬいた選集です。収録作品は以下の通り。


序文 トニー・リング

ジーヴズの初仕事
ジーヴズの春
 その一 ジーヴズ、知恵を絞る
 その二 婚礼の鐘が鳴る

ロヴィルの怪事件
 その一 アガサ叔母の直言
 その二 真珠は涙か

ジーヴズとグロソップ一家
 その一 ウースター一族の名誉の問題
 その二 勇士の報酬
 その三 クロードとユースタスの登場
 その四 サー・ロデリックとの昼食

ジーヴズと駆け出し俳優
 その一 紹介状
 その二 エレベーター・ボーイの瞠目すべき装い

同志ビンゴ
 その一 同志ビンゴ
 その二 ビンゴ、グッドウッドで敗退

トゥイング騒動記
 その一 長説教大賞ハンデ戦
 その二 レースは神聖にして
 その三 都会的センス

クロードとユースタスの出帆遅延
ビンゴと今度の娘
 その一 ビンゴと今度の娘
 その二 終わりよければ

バーティ君の変心
ジーヴズと白鳥の湖
ジーヴズと降誕祭気分

特別収録作品 ガッシー救出作戦

巻末付録 文豪たちのウッドハウス讃
P.G.ウッドハウス頌 イーヴリン・ウォー
P.G.ウッドハウス 吉田健一

収録作品解題
訳者付言



お馬鹿なのはバーティだけじゃなくて、バーティの親友かどうかよくわからないビンゴ君
などは意味不明なまでに惚れっぽくてその恋愛沙汰につねにバーティーを巻き込みたがるという奇癖の持ち主だし、バーティの従兄弟たちはとんでもない悪ガキふたり組だし、みんなその場限りの言い逃れてうそをつきまくるし、アガサ叔母さんはアガサ叔母さんだし、出てくる人物みんなおかしくて読んでる途中で吹き出す事しばしば。

「ビンゴと今度の娘」なんてタイトルだけでしばらく身動きが取れなくなりました。
「今度の娘」!
なんと言い得て妙。

このシリーズって立派にキャラクター小説だと思います。
バーティーたち明るいお馬鹿者のくり広げた混乱をジーヴズがきれいに解決するというお決まりパターンの連続を、軽妙な会話とどんどん泥沼にはまりこんでいく状況と、ジーヴズの意表を衝いた解決方法で楽しむ。ジーヴズの解決法がかなり黒いのがまた笑えるところ。

ジーヴズってあるじに対する忠誠心があるのかなあ、とときどき疑問になりました。
優秀な従僕ってあるじをあやつるものなのか(苦笑。

とっても楽しかったので国書刊行会から出ているジーヴスのシリーズも読んでみようかなと思います。

比類なきジーヴス (ウッドハウス・コレクション)
Pelham Grenville Wodehouse 森村 たまき
4336046751


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