『黄金の王 白銀の王』

黄金の王 白銀の王
沢村 凛
4344013980

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読了。


異世界歴史ロマン?

仇同士の男ふたりが、国を育むためという同一理想のために情を殺して実利に生きようとする、ライバル友情物語、と私は読みました。
志を同じくしても敵同士であることにかわりなく、周囲の無理解がかれらの立場の不安定さに拍車をかける。
相手を信頼しつつだからこそ完全な味方になるとも思えず、警戒しながら協力し続ける。
じつに緊張感に満ちたお話でした。

うーむ、疲れた。

疲れた原因は緊張ばかりでなく、視点が低く、どこか作者が物語に入り込んでいるような文章のおかげもあるかと思われます。
さらりとしてはいない。触れると抵抗がある。けれどべたつくような感じではなくて、まるでゴムの上を歩いているみたいにときどき弾む、繰り返す。

テーマが理想的なのに比べて、描写はけっこう日常的なのもそのせいか。
佐藤賢一まではいかないけど、かなり下世話な話も入る。
だからこそ、英雄物語ではなく、人間たちの物語としてこころに食い込んでくる気がする。
宗教の要素がすっかり排除させていることも、あきらかに凡人とはかけ離れて有能なふたりを苦悩する人間として描こうとしているのだなと思われました。

かなり面白かったです。
でも、個人的にはもうすこしゆとりが、物語世界的にも描写的にも適当な距離があってくれたらいいかなと思いました。この緊迫感と若さが著者の持ち味なのかなとも思いますけど。

蛇足。
読みながら、この話のモデルは明治維新なのかと思いましたが、どうやら元寇だったみたいですね。
この辺、海も満足に渡れないのに敵陣まで攻め込んで討ち果たしてくるってのは、無理なんじゃないかとちと感じました。

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