『土の褥に眠る者 ヴェヌスの秘録3』

土の褥に眠る者 (ヴェヌスの秘録 3)
タニス・リー 柿沼 瑛子
4863110006

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読了。

現実のヴェネツィアとパラレルな都市ヴェヌスを舞台にした幻想小説。シリーズ三作目。

イタリア統一をめざす法王の庶子ケーザレの台頭する時代。独立を保ち続ける数少ない都市ヴェヌスでは、〈死の島〉をめぐる長年の確執から二つの名家が相争っていた。そんな折、スコルピア家の令嬢メラルダは婚約者がいるにもかかわらず画家見習いのロレンツォと恋におちてしまう。駆け落ちしようとしたふたりは、対立するバルバロン家のアンドレアによりメラルダの婚約者キアラ卿のもとに。キアラ卿はロレンツォを惨殺し、メラルダは運河へと身を投げた――墓職人ギルドの親方バルトロメの語る驚愕の物語。




前作は中世のお話でしたが、今回はおそらくルネッサンスぐらい。
ロミオとジュリエットばりの悲恋から幕を開ける、うつくしく残酷でめまいの起きそうな入り組んだ物語。

とはいえ、リーのことなので悲恋に陶酔するような話ではなく、むしろ当の若いふたりは恋に溺れる無邪気な世間知らずとして皮肉っぽく描かれています。かれらに襲いかかるしっぺ返しの痛烈なこと!

それからバルバロンとスコルピオの両家を行き来して話は展開します。
メインはバルバロン家のベアトリクサと謎の美少年シルヴィオの話かなと思うのだけど、途中、語り手の墓職人の物語も挿入されるので読みながら本筋がわからず混乱がつづきます。

困ったのは、伏線のすべてが収束され種明かしがされても、?な状態から抜け出せなかったことで。
最終的にはハッピーエンドなのであろうと感じるんだけど、なにか腑に落ちないというか、納得できない。
ネタバレになっちゃうので書きませんけど、この話の仕掛け、私にはきちんと理解できませんでした。しくしく。

チェーザレ・ボルジアならぬケーザレ・ボルジャが魅力的に描かれていたのが嬉しかったですが、じつはかれが出演する理由も?だった。

たんに歴史的な背景を示すだけだったのかな。
それとも今後の伏線なのか。

前作ですてきな場所として描かれていた鰻島がとんでもない所業の舞台になったのがショックでした。
キアラ卿っていったいなんだったんだ……。

つぎは完結編です。
今回の謎が解明されると嬉しいんですけど、多分謎の持ち越しなんてないんだろうな。

復活のヴェヌス (ヴェヌスの秘録 (4))
タニス・リー
4863110014


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