スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

『ギフト 西のはての年代記I』

ギフト (西のはての年代記 (1))
ル=グウィン 谷垣 暁美
4309204643

[Amazon]



読了。

「ゲド戦記」のル=グウィンが2004に刊行した異世界ファンタジーの新シリーズ。

高地に住む人々は、古くからのしきたりと一族の結束を守り、血族に伝えられる〈ギフト〉を尊んで暮らしている。高地の一族カスプロマントのブランターと低地人の妻とのあいだに生まれた少年オレックは、ギフトの力をなかなかあらわさなかった。カスプロのギフトは〈もどし〉である。オレックは父や一族の期待に焦りをつのらせるが、同時にギフトに対して畏怖の感情を抱いてもいた。ある日、オレックは父親を襲おうとした蝮にギフトをふるおうとする。蝮はもどされて、オレックはギフトを発揮したのだと認識されたが、オレックにギフトをふるった感触は皆無だった。そして次に父親にギフトをふるえと命じられたとき、オレックはギフトの怖ろしい威力を目の当たりにする。オレックは荒ぶるギフトの持ち主として、両目を封印されて生活することになった。




ル=グウィンて1929年生まれなんだそうで、そしたらなんとこの本は75歳の時の作。
だというのに枯れることなくなお創作意欲衰えず、新たな世界をみずみずしく創り出してしまうなんて、はー、すごいなー。

しかも、この話、ル=グウィン作品の重苦しい厳かさをそなえつつも、どこか明るさがある。
父親との敬意をふくんだ距離のある関係には、それを補う母親との親密な関係。
人生を変えてしまうほどの不幸な出来事には、馬や犬など、動物との心あたたまるふれあい。
そして幼なじみグライとの交流。

それがラストにいたって絶望のどん底からのあきらかな希望の光となり、開放感へとつながっていったことに私はなんだかとても安心したのでした。

なんだか、暗い滅びの神話から若い人間の世界に踏み出したような気分の読後感は、これまでのル=グウィン作品にはなかったもののような気がする。といっても、私はずいぶんル=グウィンから遠ざかってたから、たんなるイメージ、錯覚なのかもしれないですが。

ヤングアダルト向けとあってわかりやすいお話だったのも私にとってはよかったです。
ときどき意味をくみ取れないことがあるので……そんなときは情けないですが。

ともあれ、たいそういい話を読んだなあという満足感でいっぱいです。

二巻はすでに邦訳が刊行されています。
三部作になるらしい。

ヴォイス (西のはての年代記 2)
アーシュラ K.ル・グウィン; 谷垣 暁美
4309204783

Comment

Comment Form

管理者にだけ表示を許可する

Trackback


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。