『漂泊の王の伝説』

漂泊の王の伝説
ラウラ・ガジェゴ・ガルシア 松下 直弘
4035404802

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読了。

イスラーム以前、ジャーヒリーヤの時代のアラビアを舞台にしたファンタジー。

たしか新聞の書評に載っていたので気になって借りてみた本ですが、予想外に面白かったです。
タイトルからなんとなく想像されますが、王様が漂泊する話。
雰囲気がすこし千夜一夜風。描写があまりなくてリアル感も少ないのですが、そのぶん物語性と象徴性が際だちます。
端的に言えば、王様の贖罪の物語なんだろうな。
ただ、たどりついたところがかなり壮大でSFめいたところもあり、これにはちとびっくり。

それとなんとなく楽しいというか興味深かったことは、ジンが純粋に精霊として守護神としてこの世界の人の心の中に生きているところです。
イスラーム以後だと、ジンもムスリムとそうでないのとに分かれたりしますんで、なんか人間くさいんですよね。それはそれで面白いのだけど、もしかしたらフィルターがかかるまえはこんなだったのかなと想像してあらたな世界を発見した気がしました。

それから、アラブ人の詩好きは有名ですが、これだけアラブ詩を取り入れた西欧のファンタジーを読んだのは初めて。

あとがきで王様のモデルがイムルー・カイスとわかって、ああ、そうかあと腑に落ちました。その名前を知ってるだけなのですが、ああ知ってる人じゃんとおもうとなんとなく親近感がわくものです。

フィクションが主だけどそれだけではないお話だったのだなと思った一冊でした。

できたら詩の部分だけアラビア語での朗唱を聞いてみたいです。

ところで、日本語でジャーヒリーヤの時代について書かれている本て、今はあるのかな。
私が知ってるのは『ジャーヒリーヤ詩の世界』だけでしたが。あれもう探したときには絶版で図書館にしかなかったような。

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