『アボリジニの世界 ドリームタイムと始まりの声』

アボリジニの世界―ドリームタイムと始まりの日の声
Robert Lawlor 長尾 力
4791760158

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読了。

とても読みにくかったので時間がかかりました。多分一週間くらいかかったんじゃないかな。

とくに読みにくかったのは初めのほう。
中盤にはいると慣れてきたのかだいぶらくに進むようになりました。

そんなに苦労してそれでも途中で投げ出さなかったのは、内容が大変興味深かったから。
アボリジニについて書かれている本を読むのは初めてだったので、たんに目新しいかったというのもあるけれど、とにかく著者いわく最古の人類であるアボリジニの精神世界の構造がおもしろかったのです。

これ、そのまんまファンタジーの設定に使えそうですよ!
すべてをつつむ共感の世界は佐藤史生の火星人を彷彿とさせました。あちらには王様がいるのですが、共感がすべてにゆきわたっていたらそんな存在も必要ないんだなとか。

著者はことあるごとにアボリジニの世界を西洋文明と対比させて、自分たち西洋人の世界が危機に瀕しているのはアボリジニのもっている素晴らしいものをすべて捨ててきたからだ、いまこそ原点回帰をと訴えていて、その部分はちょっとうっとうしかった。
それと他人の文章や発言からの引用がかなり多いので、どこまで著者の調べたことなのかがわかりにくくて、信頼性については今ひとつな気がしました。
けれど、その他の内容自体はもう一回くらい読み返したいほどでした。

個人的におおと思ったのは、うーんとどこだったか忘れてしまいましたが、「眼内閃光」という現象に触れられているところです。
眼内閃光ってべつに病気じゃないんですよね?
私、子供の頃しょっちゅう見てたんですよね、まぶたの裏にキラキラ光ってどんどん変化する幾何学模様を。
それを親に話したらすぐに眼科に連れていかれたのですが、結局どういうことになったのかは覚えていない。
いまネットで調べてみても、あんまり芳しいことは判明せず。
いまはもう、そんなキラキラはほとんど見られなくなってしまい、すこし寂しくなっていたのですが、あれは私だけのことじゃなかったんですね。
ちょっとホッとしました。

ボリュームたっぷりの本で、膨大な事柄について書かれているので内容の説明はしませんが、かわりに目次のタイトルを書いておきます。
これを見ているだけでなんとなくわくわくしてくるのです。
長くなるのでたたんでおきます。


はじめに 夢見る大地

 第1部 初めに夢見ありき

第1章 起源のイメージ
 ダーウィン、ドリームタイムと出会う 種子の言葉に耳を傾ける 分子から人類起源の夢見へ オーストラリア起源説の考古学 夢見への階梯から

第2章 夢見(ドリーミング)の時空
 夢空間

第3章 夢見と創造
 太陽はどのように造られたのか 世界創造神話と夢見

第4章 植民地化と夢見の破壊
 英雄/破壊者 権力の二つの顔 西洋で死に絶える夢見 剣、鍬、あるいは夢見

第5章 お告げ、楽園、堕落、黄金時代の神話
 南十字星 タスマニア・アボリジニの謎

第6章 死にゆく大地、再生する大地
 地球の身体 磁石としての地球 生命、精神、磁気 血液と鉄――磁気に満ちた宇宙の夢見 エクスタシー儀礼――地球との共振

第7章 虹蛇の子宮の中で
 南の蛇――その潜勢力、恵み、現れ ソングラインと文化の血液 北の蛇――現実化、受容、鼓舞 忘れ去られた北極の周期 大地と再び目覚めた蛇

第8章 夢見る種子
 影を認識する 文化――分割と変化の源 文化と周期 夢は、暗闇で、その源を発見する

 第2部 夢見を生きる

第9章 誕生
 誕生と「この世にまだ誕生していない者」の魂 スピリット・チャイルドとスペルマ・チャイルド 幼児期――具象化への渇望 身体機能の解放 感情を解放する 幼児期セクシュアリティの解放 変化する自由

第10章 儀礼周期
 移行儀礼 男性エネルギーと夢見の三領野 男性儀礼 捕まえ 旅路 故郷への帰還 割礼 隔離 二度目の帰還 婚約 上級イニシエーション 尿道切開 イニシエーションでつけられる傷 男性イニシエーションにおける女性の役割 女性儀礼 トリックスターと少女 イニシエーションと救済

第11章 アボリジニのセクシュアリティ
 愛の社会的側面 年寄りの夫と若い妻 年寄りの妻と若い夫 愛の個人的側面 愛の儀礼的側面

第12章 ドリームタイムと存在感覚
 個の起源 自己と大地――ングラ 運動する自己

第13章 アボリジニの親族体系
 親族関係と社会秩序 親族関係と情緒 思いやり――存在の情緒的基盤 謙遜、尊敬、困惑 後悔、悲痛、復讐 親族関係と互恵性 争いと親族 個人間の口論 部族間の口論

第14章 夢、大地、アイデンティティ
 ドリーム・タイムの存在論 夢見と触知可能な世界 精神と景観

 第3部 トーテミズムとアニミズム

第15章 トーテムと社会
 カミカザリバト 眺めるだけで、所有しないこと

第16章 トーテムとイメージ
 イメージと親密性 イメージと社会 変容と聖なるイメージ イメージと統合 イメージと刷新

第17章 狩猟採集者とトーテミズム
 臆病者のタカが首尾よく火を盗み出した話 自然霊とのつながり 食料採集における男女 大地、精霊、食物

第18章 トーテムと精神
 カエルの先触れ 定住から放浪へ 知覚、言語、トーテム

第19章 トーテムとアニミズム
 受け継がれる血と魂 血液の霊的エネルギー トーテム先祖の直系


 第4部 死と高位の儀礼

第20章 死 夢見への拡張
 死――この不自然にして、避けがたきもの 死と聖なる結婚 死の夢見への道 死と妖術

第21章 死への旅路
 死と瞑想

第22章 賢女と高位の男
 ブラック・スワン 火の中での眠り 水晶と高次のイニシエーション 夢見る身体 夢見へのステップ
第23章 種子を保存する

原注
謝辞
訳者あとがき
著者紹介
図版著作権表示
参考文献
索引

Comment

こんにちは。いつもこっそりお邪魔しております。
『アボリジニ~』読まれたんですね~v 私は入手したものの、内容の多さに気後れして、本棚に並んだままになっております。
民俗に関する書籍は、著者の関心の幅や価値観が強く反映されるので、複数読み比べてみないといけないなあと、いつも感じます。
でも、自分とは違った世界観を知るのは、新鮮で楽しいですね。私も読まなくては!
では、また~^^

私が「眼内閃光」について初めて知ったのは、中沢新一の『カイエ・ソバージュ―神の発明』でした。これは脳の内部から発光する光のイメージで、アマゾン流域の原住民たちは幻覚性植物をもちいて体験するそうです。この光のイメージにはパターンがあって、渦巻き、虹、凹、などの20パターンが次から次へとあらわれて消えていくんです、視覚いっぱいをまばゆく覆ったり、突然暗転したりしながら。
実は、私も時々、体験してたので、いったいこれはなんなのだろうと気になってたんですよね。
旧石器時代の遺跡にもこの光の図形パターンが残されていて、なんとケルトの遺跡にもあるんですよ。
でも、これは病気でもないし、超常能力などでもなくて(笑)、脳の内部からわきあがってくる光のイメージを幾何学的なパターンで表現したものなんだそうです。特に子どもの頃に見やすいんだって。
なので、ゆめのさんも安心してください~。

>Azuriteさん

こんにちは~。もの凄く分厚い本で大変苦労しましたが、苦労の甲斐はあったのではと思いますvv

>民俗に関する書籍は、著者の関心の幅や価値観が強く反映されるので、複数読み比べてみないといけないなあと、いつも感じます。

はい、私も読みながらそう思いました。かなり主張の強い本だったので。またアボリジニに関する本を読んでみたいと思ってます。でもこの本に対抗できるようなのはなさそう……(苦笑。

>響子さん

えっ、響子さんも見ていた?!
なんだー、ホントに私だけじゃなかったんですね、安心しました。

じつは、子供の頃はいつも見てました。見ようとしなくても見えるんですよ。で、退屈なときはまぶたを閉じてぐるぐる回る光の世界に浸ってました(苦笑。
成長したらぱたりと見えなくなってしまったのでいまは寂しいくらいです。

ケルトの遺跡にもあるなんてちょっと嬉しかったりして。

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