『復活のヴェヌス ヴェヌスの秘録4』

復活のヴェヌス (ヴェヌスの秘録 (4))
タニス・リー
4863110014

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読了。

パラレルヴェネチアを舞台にしたファンタジーシリーズ、完結編。


はー、ようやく読み終えました。
何でかわからないけどえらく読むのに時間がかかってしまった。
一番の理由は、ヴェヌスが未来になっちゃってたということかと思う。
どうしてか、リーの描く未来は私の脳裏に映像を結ばないんですよね。むー。

未来のヴェヌスはなんと海底にあるドームの人造都市。
システムはわかりませんが、太陽がめぐっていたりして美しい日没の描写が印象に残ります。燃えあがる中世都市の景観が圧巻。建物はまがいものなんだけどね。

(これを読んでいて山田ミネコの『西の22』の中はどういう構造だったのだろうとしばし思いに耽ってしまいました。あれはたしか球体だったようですが。)

物語は黒人の天才アーティスト、カササギという名のピカロ。
それと墓から掘り出してきた人間を復元するというプロジェクトで甦った、古代ローマの女剣闘士ユーラ。
大柄な考古学者でプロジェクトに参加はしているものの中枢には関わっていないフレイド。
の三人を中心に語られていきます。

ここで私は途方に暮れる。
のろのろ読んでいたため話の流れに乗りきれず、中心のストーリーがなかなかつかめなかったから。

ユーラとおなじように甦らされた17世紀の歌い手クローディオの存在が、なんだか妙だなあと思っていたら、いつのまにか伝染病が発生して一度に何人も死んでしまったり。
プロジェクトが何を目標としているのか、疑心暗鬼のまま不愉快な任務を与えられるフレイドとともにこちらまで疑心暗鬼になってみたり。
ユーラの行動がいちいち不可解で、でも彼女の心中を赤裸々に書いたりするのはリーの作風ではないから懸命に推理してみても、つぎに読むときにはそれをすっかり忘れていたり。

いったいこの話はなにを言いたいの!

と、切れかけたところでピカロのお母さんの話でうへえとなったり。

なかなか激しく翻弄される読書体験だったと思います。

多分、あちこちに出てきていたはずの象徴がわかってればこんなに苦労しなかったと思うんだけど。
そういう論理的な思考ができるくらいなら、私はファンタジーを読んでいないのだ。

そんな訳わかってない能なし読者も、クライマックスのあの方の発現には驚天動地。
つぎつぎと立ち現れるシーンにあふれる光の奔流には目をくらまされました。
うわー、このシーンは大好きだー。
あいかわらず意味わからず読んでたけど、理屈抜きで魅せられました。
インディアの説明は説明すぎてすこし興を削ぎましたが。
でもなだれ込んでいくラストシーンもすごかったし。
シリーズの中でもっともスペクタクルな展開だったと思います。

結論。
やっぱり、舞台は未来だけどファンタジーだな、これは。
キリスト教を知っていればもう少し楽しめたのではないかと思われて残念です。
中に出てきた神秘主義を思わせる一節、私はどうしてもイスラームと関連づけて読んでしまう(汗。

個人的には、できることなら舞台を未来に設定しないで欲しかった……。
それと、誤植がかなり多かった気がします。

そういえば。
話の中にシリーズの第一作に出てきたカップルが出てきて意外な形で関わってます。
フレイドがコーランを唱えるシーンは第二作が思い出されました。
それから、ユーラの古代ローマからの生はもしかすると第三作と関わりがあるのかなあと思いました。

微妙につながっている、のかなあ。

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