『海獣の子供 3』

海獣の子供 3 (3) (IKKI COMIX)
五十嵐 大介
4091884229



最小限のきりつめた言葉と大胆でうつくしく緻密な画像でかたられる、謎めいた海洋ファンタジー。シリーズの第三巻。

待ちに待っていました、第三巻。
いそいそと発売日に買ってきて、いそいそと読んだ。
しかし、二巻までの話が頭のどこにも甦ってこなかった!
忘れ去るにもほどがあるとおもうのですが、弁解もさせてください。

だってこのマンガ、説明がほとんどないんです。
大切なことはすべて絵で描かれている。
まるで映像で語る映画のよう。
それはものすごく雄弁で読んでいるときに余計な言葉なんか少しもいらないくらいなのです。
でも、受けとめたものが言語化されずにいると私には内にとどめておくのが難しいみたいです。
そして、この作品は途中からいきなり世界の中に足を突っ込んでも流れに乗ることのできない、強烈な結界がはられていたのでした。

というわけで、すごすごと後戻り。
第一巻から読み返しました。
おかげで話の道筋がようやく理解できましたよ。

集団の中にとけ込めない少女、流花。
彼女が出逢った不思議な少年・海と、海のたいせつな相棒・空。
ふたりはジュゴンの群れとともにいるのを捕らえられ、海から上がると身体に支障が出るという、まるで海獣のような体質をしていて、研究者に保護されている存在だった。
彼らのような子どもたちは世界中の海で見つかっていたが、生きて存在しているのは珍しい。
さらに繰り返される白い斑紋のある魚が消えていなくなるという不可解な現象。
ふたりは海に起きている異常に関わりがあるのではないかと疑われていた。
かれらはなにものなのか、どこからきたのか、どこへゆこうとしているのか。
姿を消した空を求める海とともに、流花は大海原へと惹きつけられてゆく。



流花にとっての大筋はこんな感じでしょうか。
どの登場人物も自分の人生を背負っているのがわかるので、それだけの物語がここには詰まっているように思えます。
海と空はこの話と謎の焦点ですが、ストーリーのあちこちで鍵になっているのは海と空を保護していたジムや、天才少年科学者アングラードの過去や述懐だったりします。
今回はぜんぜん無関係かと思っていた流花の母親まで参画してきました。

うわー、どうなるんだ、このつづき。

それにしても、このマンガはほんとに画面がスゴイ。
映画みたいだなとは先にも書きましたが、映画と違うのは作者の意図が実写よりもダイレクトに反映されているだろうこと。そしてなによりも自分のテンポで読めること。

ここを止めてよく見たいと思っても流れ去ってしまう映画と違い、マンガだとその一瞬を心ゆくまで味わえるんです。

それでどぶんと海に沈むように話の中に浸っていると、冷たい潮の流れや静寂の中で響く鯨のソングが肌に伝わってくるようにさえ感じます。

画像なのに、皮膚感覚に訴える力が高いんだなあ。それに動きも感じる。雨粒の匂いや味まで想像させられる。

体験型ファンタジーマンガといってもいいような気がします。
そのぶん話はわかりにくいけど、むしろそれも魅力。

つづき、はやく読みたいです。

海獣の子供 1 (1) (IKKI COMICS)
五十嵐 大介
4091883680


海獣の子供 2 (2) (IKKI COMICS)
五十嵐 大介
4091883699

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