『天山の巫女ソニン 3 朱烏の星』

天山の巫女ソニン(3) 朱烏の星
菅野 雪虫
4062144859

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読了。

巫女として落ちこぼれた少女が数奇な運命とともに成長していく、アジアンテイストな異世界ファンタジー、第三巻。

この異世界はすこーし朝鮮半島っぽいなあというイメージがあります。
登場人物の名前もそんな雰囲気があるし。

ヒロインのソニンは巫女として見切りをつけられて天山を下るのですが、それから運命に導かれて沙維の国の末のイウォル王子に仕える侍女となり、王子とともに半島の三国の情勢に関わりながら様々な体験をしてゆくことになります。

第一巻では自国沙維の国で陰謀に巻き込まれ、第二巻では招待されていった江南の国でまた不穏な事件に遭遇、そして三巻では舞台は英雄の国巨山へと広がりました。

何事も先入観で物事を見てはいけないこと、権力者の隆盛には理由があること、権力者が勝手に引いた国境線によって運命が分かれてしまうひとびとがいること、などなど、政治的なかけひきで起きてしまう不幸な現実を、ソニンとイウォル王子は目の当たりにすることになります。

ソニンはイウォル王子がどんどん勉強して立派になっていくことに、少々焦りを感じていたり。

口のきけない王子の心の言葉が聞こえるという立場で特別な侍女となっている自分に、ほかにもするべきことがあるのではないか、と悩んでいるソニン。つくづく真面目で素直な女の子です。

ソニンの天山でたたき込まれた滅私奉公の精神が、現実世界で種が芽吹くようにほころんで
いくようすも、このシリーズの読み所なのかもしれないです。

いまのところ、まったく色恋沙汰には無関係な話になってますが、そのうちなにか進展があるかもしれない、とちょっと感じたり。

それから、今回は巨山の王の娘、大きな犬を従えた王女イェラの存在が鮮烈でした。
偉大な父親を慕ってはいるものの、こころからその政策に従うことができず、孤独を抱えている利発な王女。

ソニンとのふれあいは数えるほどでしたが、どのシーンも今後のシリーズに大きな影響を与えそうな、印象深いシーンだった。

もっと彼女のことを読みたいーと思いつつ読んだラストのイェラ王女の姿に、運命の歯車が大きな音を立てたような衝撃を感じてしまいました。

うん。きっとこのあと彼女は大活躍してくれるでしょう。

国家間の政治的な思惑やそこで翻弄される人々の暮らし、そして少年少女の成長を、簡潔でありながらやさしい雰囲気の語りの文章で一気に読ませてくれる、物語の楽しさも持ちあわせたシリーズだと思います。

個人的にはもすこし幻想風味が欲しいところですが、たいへん面白いので無理はもうしません。

つづきをはやく読みたいです。

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