『人類最古の哲学 カイエ・ソバージュI』

人類最古の哲学―カイエ・ソバージュ〈1〉 (講談社選書メチエ)
中沢 新一
4062582317

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読了。

宗教学者の中沢新一による講義録カイエ・ソバージュの一巻目。
響子さんのお言葉に興味をひかれて借りてみました。

いやー、この本、ものすごく面白かったです。
普段講義録なんて興味ないのですが、これは題材からして私好みでした。
世界最古の哲学とは神話のことなのです。

神話は石器時代から人類が育んできた現実社会と折り合いをつけるための装置、なのだそうで。
世界中に類似した民話が散見されるのは大元にこの神話があって、それが石器時代からの人類の移動によって地球上のあちこちに運ばれていったかららしい。
時代や人々の生活習慣や社会規範によってさまざまなバリエーションが生まれていくのだけれど、大元の神話的な原型が止められている限り、私たちはそれが似通った話だとわかるのだそうな。

初めに例としてあげられているかぐや姫の話は、「結婚したくない娘」という原型があってそれをどのようにして社会的に収めていくかがポイントなのだそうですが、そこに登場する子安貝の伝説というのがこれまた世界各地にいろんなバージョンで転がってるというのが目から鱗。

へええ、そうなんだーと感心しているうちに本題であるシンデレラのバリエーションではもう夢中になって読んでしまいました。

ううむ、なるほどねえ。
あの玉の輿ハッピーエンドのお伽噺にこんな深遠なしくみが隠されていたとは!
原型に近づけば近づくほど現代資本主義の垢がボロボロ剥がれて、どんどん魅力的な話になっていくのがすごく楽しかったです。
とくにネイティヴ・アメリカンのミクマク族がフランス人から聞いた話をわざわざ語りなおしたという「見えない人の話」は最高でした。シャルル・ペローのサンドリヨンとは比べものにならない純粋さです。
これはファンタジー読みならいちころなのではないかと思います。

この本を読んで、も一度『アボリジニー神話』を読み返したくなりましたが、はて、そんな能力が私のあるのかどうか、それが問題です。

以下に目次を記しておきます。


はじめに カイエ・ソバージュ(Cahier Sauvage)について

序章 始まりの哲学
第一章 人類的分布をする神話の謎
第二章 神話論理の好物
第三章 神話としてのシンデレラ
第四章 原シンデレラのほうへ
第五章 中国のシンデレラ
第六章 シンデレラに抗するシンデレラ
第七章 片方の靴の謎
終章 神話と現実

索引



じつに興味深い本でした。
それにとても読みやすかったし。大学生相手の講義録だからかな。
読んでいて眠くなることなど一秒たりともありませんでしたね、ええ。
これはこのシリーズをもっと読まなくちゃあという気持ちになりました。

二巻はこちらです。

熊から王へ―カイエ・ソバージュ〈2〉 (講談社選書メチエ)
中沢 新一
4062582392


実はこの本、一度借り出しとことがあるんですよね。
あのときは時間切れでダメだったけど、今度借りたときは大丈夫でしょう、きっと。

Comment

ご無沙汰しております。

私も先日読了したばかりですが、本当に面白いですね。
特に「見えない人の話」は良かったです。なぜかこのい話からバーネットの「白い人たち」を思い出してしまったりもして。共通する部分はないと思うのですが。
次巻を読む前に「古事記の読み方」を読んでいるのですが、神話の変質と社会の変化の過程が<1>を読んだおかげでさらにわかりやすく感じてます。

こんにちは。

苳子さんもお読みになったのですね。いや、本当に面白い本でした。
「見えない人の話」、すっかり別次元の話でしたね。
いろんなことに応用できる考え方を知ると、他の物まで別の視点から見られるのが新鮮ですね。

バーネットの「白い人たち」は残念ながら未見なのですが、俄然興味がわいてきました。
ネットではいろんな本を教えてもらえるので楽しいです。

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