『泣き虫弱虫諸葛孔明』

泣き虫弱虫諸葛孔明
酒見 賢一
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読了。

『後宮小説』や『陋巷に在り』の酒見賢一による三国志、おもに孔明視点の話です。

『三国志』というと私は北方謙三版しか通して読んだことがないわけですが、そんな三国志初心者でも平気で読める、すばらしいというか型破りなというかかなりぶっ飛んだ三国志です。

この作者様の小説はたいてい神の視点から作者が語っているのが明白なつくりになってるのですが、今回はこの語りが半端ではありません。『三国志』の非現実的なることをつつきまわし、登場人物の異常性をつっこみまくり。中国四千年のスケールがいかに小国日本の小市民的想像を絶しているかをこれでもかこれでもかと話しまくるのです。

凄いテンションです。
まるで『三国志』界の『銀魂』。
ツッコミ『三国志』とでも名づけたいような気がします。

おかげでどんな些細なエピソードも、その背景からこまごまと説明されて物語における意味やらどこが中国人的感性にうったえているのか、非常にいろんな情報を笑いとともに受けとることができるのです。

作者にかかると世紀の大軍師、諸葛孔明は、歴史上稀に見る奇人変人ということになります。しかもコスプレ好き!

そして劉備軍団というと理由のわからない人望を武器にその場凌ぎ場当たり的に生きのびてきたしぶとい首魁を中心にした任侠集団です。

もう、どのエピソードもおかしくて楽しくて、あはははと笑いながら読みました。
こんなに笑える中国歴史物があるなんて。真面目な『三国志』ファンなら湯気を立ててお怒りになるのではと心配してしまうほどです。英語版「ロマンス・オブ・スリー・キングダム」には笑いころげてしまいました。しかしあながち大嘘とも言えないよね、たしか『レッド・クリフ』とかいう映画の宣伝を見たような気がするし。ところで、赤壁がレッド・クリフと訳されるのにはどうしようもない違和感があるなー。

とたいそう楽しんで読んだのですが、ちょっと長すぎ。こんなテンションで485ページもつきあわされると息切れがします。もうすこし小出しに本にするとか、考えなかったのでしょうか。第二部はもっと分厚いと知ってちょっと腰がひけているところです。

しかし第一部は三顧の礼のところで終わっているのでねえ、孔明が本当に活躍してくれるのかどうかは第二部を読まないとわからんのです。

いや、物語的には充分活躍しているのですがね。軍師としてはなんにも、それこそなーんにもやっていないのでありますよ。

ううむ、どうしよう。

ところで、個人的には、煮ても焼いても食えないようなじいさまがふたりも出てきてくれてたいそう楽しかったです。
よしよし。

泣き虫弱虫 諸葛孔明 第弐部
酒見 賢一
4163251200

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