『愛と経済のロゴス カイエ・ソバージュIII』

愛と経済のロゴス―カイエ・ソバージュ〈3〉 (講談社選書メチエ)
中沢 新一
4062582600

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やっと読了。

宗教学者による大学での講義録。
第一巻はあっという間に読み終えたこのシリーズですが、二巻はちょっと苦戦。
しかし三巻は苦戦どころではなく、この本最後まで読めるのかしらんと不安になるほどとっつきにくかったのでした。

題材が経済で、経済なんてぜんぜん知らなかったからだと思うのですが。
経済のことを抽象化して考えることに経験が無くて、交換と贈与、純粋贈与という概念がまったく腑に落ちないのですよ。

そうしてよくわからないまま読む本てのはとてつもなく眠くなるんだということを、ざんざん思い知らされました、前半は。

中盤あたりでこの概念論に具体例としてラスコー洞窟が出てきたあたりからちょっと頭の中が反応し始めて興味がちょいと頭をもたげ、それから事例としてどーんとヴォルスング・サガがでてきたら、ここで目がぱっちりと覚めました。われながら単純。

しかし、マルクスがこんな愛と贈与の関係を真剣に考えていた人とは驚いた。
共産主義ってなんだか冷たくて抑圧されてる息苦しい社会のイメージしかなかったから。

それに、ヴォルスング・サガがベースのニーベルングの指輪やパルジファルの作曲家ワーグナーに、そんな思惑があってこの楽劇を創作していたとは、びっくり。まさになんということでしょう、です。

やはり芸術家というのは時代の社会そのものを表現する人なんだなあと、感慨深かったです。

同時に私のキリスト教知識の薄さにもちとがっかりしましたが。
谷瑞恵の『魔女の結婚』シリーズなんて今読んだらまったく違う読み方が出来るかも。でももう手元にないんだよな。

で、原始的な贈与中心の世界はまさにアボリジニーの生きていた世界だなと思ったわけですが、資本主義がもういちど贈与の機能を取り戻すにはどうすればいいんだろうねえとちょっと悲観的になったことでした。

なんだか、クリスマスみたいな贈与イベント以外に、現代における贈与による利益増加って贈収賄事件以外思いつかないんですけど……。


覚え書きとして目次を書いておきます。


はじめに カイエ・ソバージュ(Cahier Sauvage)について

序章 全体性の運動としての「愛」と「経済」
第一章 交換と贈与
第二章 純粋贈与する神
第三章 増殖の秘密
第四章 埋蔵金から聖杯へ
第五章 最後のコルヌコピア
第六章 マルクスの悦楽
第七章 聖霊と資本
終章 荒廃国からの脱出

索引



つぎの巻は最初からちゃんと読めることを期待しています。

神の発明 カイエ・ソバージュ〈4〉 (講談社選書メチエ)
中沢 新一
4062582716

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